リブンシケーダ


 ある時期、セミのルアーを探しまくったことがありました。
 何でかと言うと、中学校の夏休みのある暑い日に近所の野池でルアー投げてたら、フラフラ飛んできたアブラゼミが水面に落ちたんです。
 水面でバタバタするセミをぼーっと見てたら、なんか見たこともないようなでっかいバスが浮いて来るやないですか!
 で、そいつはそのセミをパクッてひと飲みにして沈んでったんです。
 木の影になったところとは言え、あんなカンカン照りの日に水面のセミ食べに来るぐらいやで、もしかしてセミのルアーつこたらメチャメチャ釣れるんとちゃうかと思いましたね。
 そうなったらもうセミしかありません。

 でも、セミのルアーなんて、はっきり言ってなかなか見当たりません。
 別の項で紹介したジタバグ君なんて結構それに近かったのですが、何か違うんですわ。
 ノイジーとかも結構近い感じでしましたが、やっぱり違います。
 で、探しに探したあげくやっと見つかったのがダイワのリブンシケーダでした。
 リブンシケーダ、Liven Cicada、活発にさせるセミ、活性を上げるセミ(でええんかな?)、すごい名前やんけ!
 たしか1200円やったと思います。
 中学生にとってはかなり高い買い物でした。
 でも当然買いましたよ。ランカー爆釣の夢を描いて…


 このリブンシケーダですが、どういう仕組みかというと、ボディの両側にプロペラが付いてます。
 ルアーを引いてくるとそのプロペラが水の抵抗を受けてクルクル回るんですな。
 で、プロペラが回ると水しぶきが上がって、セミが水面でバタバタしとるように見えるって寸法なんですわ。
 そんなルアー後にも先にも見たことありませんわ。
 すごいアイデアやと思いました。

 さて、いよいよ第1投です。
 着水してダーッと巻いてくると、なるほど、予想どうりプロペラがかなりの水しぶきをあげます。
 たしかにセミっぽいな。
 で、5投ぐらいしてあることに気付きました。
 「水面に落ちたセミってあんなにまっすぐ進んでこやへんよな…」
 そうです。水面に落ちたセミは落ちた場所から動けずに羽をバタバタさせてるもんです。
 「でもこのルアーは巻いてこやんと水車がまわらへんし…」
 もう、この辺りからシラケてましたね。
 でも高かったのでなんとか1匹釣らんと話になりません。
 で、その後も投げ続けていると10投目ぐらいで突然ルアーの動きが変になりました。
 なんかまっすぐ進まんのですわ。
 巻き上げて見てみると、なんとプロペラが片方無くなってます。
 プロペラを押さえている留め具ごと抜けてました。
 なんや、10投で終わりかいな。
 1投120円。
 今やったら自販機でジュースがちょうど120円。
 1投ごとにジュース投げとったようなもんやんか!
 このやろー


 今思うと面白いルアーやったと思います。
 プロペラが取れんようにもうちょっと作りを良くしてもらえば良かったんやけど…
 あと、あの形じゃプロペラ以外のアクションが付けられません。
 ドッグウォークとかさせようにも全然頭振りませんでした。
 あれじゃなかなか釣れんやろね。
 まあ、持ってるだけで面白いルアーの部類に入るんやろけど、今じゃ生産されて無いようです。
 アイデア倒れ賞をあげましょう。

2000/2/17  CASL


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